vim の visual モード中に実行できる編集コマンドのうち、大文字のものはほぼ、操作対象が行単位になる。行単位ということは、選択範囲の端点の桁位置は使用されないということだ。行位置だけが意味を持つ。
行単位の操作においては、特に削除処理について文字単位でのそれとの違いを意識する必要がある。具体的には行にマークが含まれる場合である。マークを含んだ行を文字単位で全削除(つまり [cci]^.*$[/cci] を削除)したとしても、マークは空行の先頭位置に収斂され、削除されない。一方、行単位での削除(つまり [cci]^.*\n[/cci])の場合はマークごと削除される。これは決定的な違いだ。ちなみに削除に対応する undo 情報にはマークも含まれるので、undo すれば行全体とともにマークも復活する。
ところで、最後に使用した選択範囲はマーク [cci]<[/cci] と [cci]>[/cci] で参照することができる。では、visual モードを経由して行単位での削除を行った場合、それらのマークはどうなるのか? というと vim では削除後もそれらのマークは生き残っているのである。もちろん本来の選択範囲は削除されているので、全然関係ない別の行を指していることになる。これはなんというかバグなのか仕様なのか判別しづらい。
wasavi では行単位で削除を行ったあとは [cci]<[/cci] と [cci]>[/cci] マークは無効になるようにした。