順当に行けば、次は [cci]w/W/e/E/b/B[/cci] なのだが、数が多いのでこれが意外と面倒くさい。
これらのコマンドは、Unicode 関連を抜きにしてもいじる必要があった。従来は、カーソルをジャンプさせるべきテキストの切れ目をオンザフライで走査していた。このとき、[cci]w/W/e/E[/cci] なら走査の方向は順方向、[cci]b/B[/cci] なら逆方向なのだが、一部の文字は走査の方向によって切れ目が変化してしまうという問題があった。
従ってオンザフライではなく、一旦常に同一方向でテキストを走査して切れ目を貯めこみ、次にそれを利用するという形にしたかったのだ。そして、「テキストを走査して切れ目を貯めこむ」という処理は UAX #29 で述べられている word boundary そのものなので、ついでにそれにも準拠したいなあということなのであった。
そういうわけで [cci]w/W/e/E/b/B[/cci] コマンドを全て Unistring が切り出した単語の情報を利用するように書き換えた。
ちなみに割とどうでもいいような、それでいて非常に重要なことのようなトピックとして、UAX #29 のルールに則ると濁点・半濁点付きの半角カナにおいてそれらの 2 文字(UTF-16 単位で)が 1 つの書記素クラスタとして扱われるというものがある。従ってカーソルが濁点・半濁点だけを指すということがなくなるし、また削除するとしたら書記素クラスタ単位になる。これはなかなか目からウロコな仕様で、改めて考えてみるとこちらのほうが確かに自然なのだが、日本産のテキストエディタでこういう動作をするものは多分なかったと思うのですんなり受け入れられるか少し不安な感じはする。