昨日の記事を書く過程で wasavi に言及しているブログなんかをぐぐってみた。で、何件かあった。それ自体は、非常にありがたいことである。あるのだけど、その中にちょっと気になるものがあった:
これは、テキストエリアを編集中に規定のキー(例:Ctrl+Enter)を押すと、Vimモードになり、:q を入力するまで、Vimのキーバインドを提供してくれるもの。
vimscriptによるプラグインは使えませんが、Vimとしての再現度はなかなかよいと思います。
何が気になるといえば、つまり「Vim」の一語だ。
wasavi は vi のクローンであって、vim の何かではない。vim からいくつかの機能を拝借してはいるが、wasavi は vi のクローンであって、vim の何かではない。
したがって、vimscript が動かないんですけお! と言われても困るし、「vim の再現度」について評価されても「えっなんのこと?」としか答えることができない。なにより説明で “vi editor for any web page” と言っているのだ。なぜ vi ≒ vim という取り違えが起きるのだろうか?
これはつまり、現役の vi 系エディタのデファクトスタンダードが決定的に vim であるという現実がやはり根底にあるのだと思う。古い人間なら、vim なんて遅れてきた vi クローンの上にやたらめったら魔改造を施された、ある意味での異端児だ、などと思うだろう。つまり彼らにとっては、vi と vim は明らかに別のものである。しかし新しい人間にとっては、vi といえばつまり vim であり、vim のオリジンは vim 自身であり、historical vi はそのタイニー版でしかないということなのではないか。
将来 wasavi にスクリプティングやシンタックスハイライトの機能を実装するとして、その仕様はおそらく vim のそれとはかなり違うものになると思う。つまり今以上に「vim となんかちがうんですけど」的な扱い難いクレームが増えるかもしれない。これはなかなかに由々しき問題だ。