serif or sans-serif

文字の形は一般的に書体、フォント、タイプフェイスなどとよばれる。

欧文の場合、まず大きく分けて serif 体と sans-serif 体(と、その他)がある。見た目上の決定的な違いは、前者がいわゆるヒゲ付きで、後者がヒゲなしだということなのだが、1 文字 1 文字の見た目以上の違いがもっといろいろなところに現れる。

書籍などの印刷物なんかでは、だいたい本文のような長い段落の文章は serif で組む。serif のほうが読みやすいからである。対して、見出しのように目立ってなんぼの部分は sans-serif で組む。そのほうが目立つからである。とこのように、それぞれのデザインに用途の向き不向きがある。したがって普通は適材適所にそれぞれの特徴を活かした組版を行う。

翻ってコンピュータ上でのテキストの組版、とりわけ web ページのそれはどうなのかというと、残念ながら長い文章であっても serif が使われることは少ないように思える。特に日本語のページではそうである。これは一つ理由が考えられて、現在の一般的なディスプレイのピクセル密度では、serif 体はあんまり綺麗に表現できないのである。

個人的には、ディスプレイ上であっても長い文章は serif で読みたい。日本語の書体では serif / sans-serif は明朝体 / ゴシック体というものに対応する。しかしどうもゴシック体で組まれた文章は、クールでポップでかっこよくはあるのだけど、なんというか真摯さに欠ける。どんな高尚な内容の文章も、メイリオとかヒラギノ角でレンダリングしてしまうと、薄っぺらな C 調言葉にしか見えなくなってしまうのである。これは「おまえは何を言っているんだ」と言われそうだが、かなり本気でそう思っている。そんなわけで、もっと明朝体をゴリ押ししたい。ゴリ押ししていきたい。どうでもいいけど C 調とか我ながら発想が古いなあ。

さて、最近は特にモバイル機器を先頭に、ディスプレイの解像度はじわじわと上がりつつある。96ppi どころか、一気に 200 とか 300 とかの ppi に達しているものもある。これくらいの解像度があれば十分 serif も明朝体も綺麗に表示できる。ヘタしたら、アンチエイリアシングのような小細工すら必要ないかもしれない。この分だと、あと数年もすればほとんどのディスプレイが高解像度に置き換わるのではないか。そうするとつまり、ハードウェアの面では明朝体ゴリ押し計画に対する障壁はないことになる。

問題はソフトウェアの面なのである。

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