例の Firefox の署名周り。公式のドキュメントとしては https://dev.mozilla.jp/2015/02/extension-signing-safer-experience/ あたり。
このドキュメントには書いていないが、ものすごく重要なことがある。それは AMO に提出した拡張がレビューされるまで、月単位で待たなければならないということだ。レビューされるのが早いか、弥勒菩薩が降臨するのが早いか…という勢いである。枯れた安定した拡張ならともかく、新しく次々と更新されるホットなそれにとっては AMO はまったく頼りない場所であるということだ。
それを補うために、従来はベータチャネルというものがあって、1.0.0beta みたいに名づけたバージョンはベータ版扱いになり、アップした際の機械的なコードバリデータでのチェックでエラーさえ出なければとりあえず即 AMO 上に乗る仕組みがあった(ただし、当然 AMO がレビュー済みというお墨付きは得られない。また事前に full レビューを済ましたものでなければならない)。
今回署名周りの変更に従って、どうもこのベータチャネルのフローも変化している感じがする。コードバリデータでエラーも警告も一切でない 100 点満点の結果を出せば、おそらく従来通り即 AMO に乗るのだろう。しかし警告を出すと人の手によるコードレビューに送るフローしか選択できなくなってしまう。そして人の手によるレビューは前述の通り月単位で時間がかかるのである。したがって、「不安定かもしれないけど即公開される」というベータチャネルの意義を AMO 自身が完全にぶっ壊しているということになる。
ここで、「警告を出さないクリーンなコードにしないお前が悪いんじゃん」と思われるかもしれない。本質的にはそうだろう。しかし現実的にはコードバリデータがどうも信用できないのだ。警告ではないものにまで言いがかりをつけてくるポンコツに思えて仕方がないのだ。
たとえば以下のように、setTimeout() や setInterval() の第 1 引数に関数リテラルではないものを渡すとバリデータは警告を出す。しかも、reject severity: high という扱いで。
handler = function () { ... };
:
:
setTimeout(handler, 100);
これが何故警告の対象になるのかというとおそらく、コールバック関数を変数経由にすると、その変数の中身を外部から書き換えられてしまい、任意の関数を送り込まれる危険性がある……的なものだと思う。だからコールバックは関数リテラルで書けよとバリデータは言ってくる。
しかしこの場合、問題の本質はコールバックを変数経由にした場合にその変数が外部から操作可能なスコープにあるかどうかであって、関数リテラルで書いているかどうかではないと思うのです。そういう視点ではなく、バリデータは単に字面しか見ていない感じがする。信用できない。
ちなみにこれを
handler = function () { ... };
:
:
setTimeout(function(){handler()}, 100);
と書き換えると警告は出ないのだが、これじゃあバリデータくんが危険視するらしき危険性はまったく除去されてない。これを見逃すというのは、やはりバリデータは単に字面しか見ていない感じがする。信用できない。
Mozilla は自分のところで javascript エンジンを作っているのだから、自慢のなんとかモンキーをベースにもっとちゃんとしたバリデータを作れると思うのです。それをやっていない。バカでも作れる、grep に毛が生えたようなツールしか作っていない。
他にもたくさん「なんでこれが警告扱いになるのか意味わかんねーです…」というものをたくさんお出しされてとってもげんなり来る。
もっと真面目にやってほしい。